電報 結婚式のマル秘テクニック

開店して間もない店で客があふれんばかりの様子を撮ったスライドなどを携えて、S社役員へのプレゼンテーションに挑んだ。
Sの社の反応もよく、日本の実情をもっと知りたいという連絡がまもなく届けられた。 ただS社にとって気掛かりな点が一つあった。
それはY堂が既にスーパーマーケット事業を営んでいることだった。 コンビニ専業のS社は73年当時、急成長をしていたが、その一方で米国では食品スーパーのセーフウェイなどのスーパーマーケットが多角化の一環として始めたコンビニ事業は、必ずしも成功していなかった。
値下げ販売など価格設定を柔軟に行うスーパーと、基本的には販売価格を変更しないコンビニの、業態としてのコンセプトの違いを理解しないことには、事業展開は成功しないと見ていたのだ。 また直営店方式によるビジネスモデルのスーパーに対し、コンビニはフランチャイズチェーン(FC)システムによる店舗運営が経営の根幹になる。
FC契約が理解されないと店舗運営は機能しない。 S社はFCシステムが日本で理解され、定着するのか不安視していた。
S社は1ヵ月もしないうちに日本へ視察チームを派遣した。 まず、商品担当、店舗運営の担当者が第一陣として来日した。

間髪置かずに社長のHら首脳陣が日本の地を踏んだ。 S社に日本市場を理解してもらう絶好のチャンスであることに間違いはなかった。
S社首脳陣らはY堂だけでなく、DやSなどの大手チェーンストアや中小商店、有力卸売業者などを精力的に視察した。 日本の生活習慣を探るために街へ飛び出して、人の流れなども直接見て回った。
こうした中でS社がまず驚いたのが、日本市場の人口密度の高さだった。 東京には至る所に鉄道網が張り巡らされ、多くの生活者がいた。
また、中小小売店の店舗運営が非効率の固まりのように見えたという。 米Sのノウハウを日本に持ち込めば、ビジネスは成功すると確信したようだった。
日本市場について前向きに検討を始めたS社幹部が帰国してすぐ、S社は約百項目の質問状をY堂に送りつけてきた。 「ガソリン販売の可能性」「米や酒類の販売規制の内容」「夜間人口の数」「問屋制度」など、どれも具体的な内容だった。
提携交渉入りに手応え有りと感じたSとSは、徹夜もいとわず資料作成に没頭した。 6月、Y堂にS社から吉報が寄せられた。
「正式に提携交渉に入りましょう」ただ同時に提携内容としてY堂側に極めて厳しい条件を提示してきた。 事業展開はS社との合弁事業で行うこと、Y堂の出店地域は日本を2分割し、東日本のみであること、8年間で2千店を出店すること、S社へのロイヤルティーは日本事業の売上高の1%とすることといったものだった。

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